Unlimited Touch / I Hear Music In The Streets - 洗練された空間美と躍動するグルーヴが交差するPost Discoの到達点

Unlimited Touch / I Hear Music In The Streets

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洗練された空間美と躍動するグルーヴが交差するPost Discoの到達点

1980年、NYの名門Prelude Recordsからリリースされた Unlimited Touch / I Hear Music In The Streets のレコメンド。この曲は、Post Discoという時代の転換点を象徴する1曲で、70年代後半のオーケストラ主体の豪華絢爛なDiscoサウンドから一歩進み、よりミニマルで洗練された構造へと移行していく流れの中で、その美しい余白を最大限に活かした完成度の高さを誇る名曲となっています。煌びやかなストリングスやホーンを重ねてフロアを華やかに彩った70年代Discoとは異なり、ビート、ベース、ギター、ヴォーカルという必要な音を必要な場所へ配置するコトによってグルーヴを作り上げていく…この引き算の美学こそ、80年代へ向かうDance Musicの新しい方向性を鮮やかに示しているんですよね。


イントロだけで「イケるっ!」と確信させる強烈なグルーヴ

聴いた瞬間に耳に飛び込んでくるのは、タイトに刻まれる4つ打ちのキックと、肉厚で弾力のあるベースラインっ!そこにカッティングの効いたギターリフが絡み、ムダのないグルーヴがジワジワとフロアを温めていきます。このイントロだけで、すでにDJ視点では「イケるっ!」と確信させる強度がありますね。そしてフックに入ると一転、女性コーラスによる華やかで開放感のあるハーモニーが広がり、楽曲はイッキに高揚感を帯びます。このコントラストこそが本作の最大の魅力で、削ぎ落とされたトラックの隙間を縫うように、洗練されたボーカルが駆け抜ける。鳴っている音そのものだけではなく、音と音の間に残された空間までグルーヴとして機能しているような構成で、聴けば聴くホドその緻密なサウンドデザインに引き込まれていきます。その音と空間の設計は、後のHouseミュージックへと直結していく重要な要素でもあったりします。


Bert ReidとFrançois Kevorkianが作り上げた12インチの空間美

プロデュースを手がけたのはCrown Heights AffairのBert Reid。Funk由来の肉体的なグルーヴを骨格に据えながらも、過剰な装飾を排したサウンドメイクは非常にモダンに仕上がっています。そして12インチ仕様では、François Kevorkianによるミックスがその魅力を決定的なものにしています。各楽器の音像は驚くほどクリアに分離され、空間的に配置されているため、フロアで鳴らした時の抜けの良さは格別っ!キックの押し出し、ベースの太さ、ギター・カッティングの鋭さ、そしてヴォーカルが抜けてくる位置まで、それぞれの音が互いを邪魔するコトなく存在しているんですよね。こういう曲を12インチで聴くと、単純に「音が大きい」というだけではなく、音と音の間にある空間まで広がって聴こえてくる…12インチシングルというフォーマットがDance Musicのためにいかに優れたモノであるかを実感させてくれます。


ブレイクに刻まれたダンスフロアの呼吸

特筆すべきは中盤のブレイク…ドラムとベースのみへと削ぎ落とされる瞬間の緊張感、そして再びメロディが戻ってくる解放感…この展開はまさにダンスフロアの呼吸そのものといった印象です。カラダが自然と反応してしまう「間」の取り方が絶妙ですね。DJプレイという視点から考えても、このブレイクは単なる楽曲上の演出ではなく、フロアのテンションを一度抑え、次の瞬間に再び解放するための非常に重要な仕掛けになっています。音を足して盛り上げるだけではなく、あえて音を抜くコトによって人を踊らせる…この感覚は後のGarageやHouseへと受け継がれていくDance Musicの基本的な美学でもあります。リリース当時、NYのクラブシーンではGarageやLoftといった現場で支持を集め、DJたちにとっては長く使えるクラシックとして定着していきました。また、その洗練されたビートとフレーズは後のHipHopやR&Bにも数多くサンプリングされ、ジャンルを超えて影響を与え続けています。


NYの街に溢れる音楽を閉じ込めたPost Discoクラシック

タイトルにもある通り、「通りに音楽が溢れている」というメッセージは、音楽が日常の中に溶け込み、人と人を繋ぐ存在であるコトを象徴しています。都会の喧騒の中でも、フトした瞬間にグルーヴを感じる…そんなNYの空気感までもパッケージされた1枚です。DiscoからPost Discoへ、そしてGarage、Houseへ…Dance Musicが大きく変化していく時代の中で生まれたI Hear Music In The Streetsには、過去のDiscoが持っていた華やかさと、その後に登場するDance Musicのミニマルな構築美が絶妙なバランスで共存しています。だからこそ40年以上経った今聴いても古臭さをカンジさせず、むしろ現在のHouseミュージックにも通じるグルーヴの原型を発見できるのでしょうね。Post Discoの魅力を語る上で避けては通れないこの楽曲…12インチならではの音の広がりと没入感を、ぜひ体感してほしいですね〜。針を落とした瞬間、きっとそのカンペキな隙間に引き込まれるハズですよ。


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